イシューからはじめよ
- 作者: 安宅和人
- 出版社/メーカー: 英治出版
- 発売日: 2010/11/24
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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筆者はマッキンゼーのコンサルタントを長く務めた方で、現在はヤフージャパンの経営企画を担当している。ロジカルシンキングやMECEなどでも有名なマッキンゼー出身の方だけあって、文章は非常に論旨明快でわかりやすい。確かに、企業経営者や経営コンサルタントのように、問題(のように見えるもの)が膨大な人には、こういった絞り込みが必須なのだと思う。
労働時間でサラリーをもらうのでなく、アウトプットの質が厳しく要求される仕事に就いている方には、参考になる点が多いと思う。
その反面、一般のサラリーマンが「自分の仕事の進め方を改善したい」と思って読むと、ちょっと違和感があるかもしれない。一般のサラリーマンの世界で、「できる人」と「できない人」を分けているのは、問題を絞り込めているかどうかよりも、問題の根本を把握できているかどうか、だと思う。というのも、一般のサラリーマンは、問題自体は与えられるもので、それに取り組むべきかどうかという選択をする権利はあまりない。ただ、その問題が、学校のテストなどとは違って、抽象的であることが多い。(上司の指示に問題がある場合も多いが(笑))
抽象的な問題に対して、向かうべき方向を間違えて、意味のない努力を続けているような人は、結構、見ることが多いと思う。僕も、他のプロジェクトメンバーに、各自の課題を挙げてもらうと、「アプリ配信方式の検討」といった内容で挙がってくることが多い。この内容だと、「方式を検討するための時間やメンバーが足りないこと」が問題なのか、「方式自体にいくつかの案があって、どれにすべきか決められないこと」が問題なのか、はたまた全く違うのか、よくわからない。
トヨタの「なぜなぜ5回」のように原因分析を掘り下げる、というのはよく言われているが、問題自体を一段掘り下げることも重要である。うまく問題を掘り下げられれば、解決を他人に任せることもできる。
この本が提起した「問題設定の重要性」は、とても大事なことだと思うので、ターゲットを一般レベルにした本が出てきてもよいのではと思う。