非国際化の恩恵

少し前に、フランスが富裕層向けの課税を強化するといった報道が出ていた。フランスも国家財政はあまり余裕がなく、その穴埋めのため、大きな反発の出にくい金持ちから取ろうという発想らしい。この政策に対して、富裕層が国外に大量流出してしまうのではといったことが話題になっていた。


日本の最近の政策もあまりフランスと変わりがない。給与控除の上限規制なども同様の趣旨の政策だし、もともと高所得者に対する課税はかなり厳しく、元中日ドラゴンズの井端が今季にもらう年俸はほとんど税金になってしまうとも言われていた。


では、なぜ日本では富裕層の国外流出というのが話題にならないのかといえば、食事の質の高さなどを含めた日本の居心地のよさもあるが、最も大きなものは言語的な壁だと思う。もしも、日本の多くの人が英語の日常会話に不自由しないとしたら、海外への移住は飛躍的に増えていると思う。そして、移住を選ぶ人の多くは高所得者、もしくは海外で高所得を得ることのできるハイスキルの人だと思う。


そう考えると、日本語の閉鎖性に守られているのは、他でもない日本政府であり、日本という国家だといえる。日本の学校での英語教育が役に立たないなどと言われて久しいが、何十年経ってもあまり改善されないのは、もしかしたら日本の体制を守るための方策なのかもしれない。さすがに少し行き過ぎた考えだとは思うが、もしも逆に日本語が世界の多くの地域で通じるとしたら、それでもあなたは日本に住むことを選択するだろうか。