ジャストインタイム

カンバン方式の生みの親である大野耐一氏の著書の中に、「モノだけでなく情報もジャストインタイムでなければならない。必要になる情報だからといって早く伝えればいいというものではない」といった趣旨の記述があった。著書を読んだ当時はそれほど気に留めなかったのだが、最近はこれが非常に本質を突いたものだと思う。


A、B、Cの三つのことをやって欲しいときに、得てして「とりあえず言っておいて損はない」と「AもBもCもやってくれ」と言ってしまう。そうすると相手はそんなに一遍にできないよ、という気分になってどれも中途半端に仕上がってくることが多い。もちろん、相手が非常に優秀であれば、優先順位を付けてうまく捌いてくれるが、相手の能力に依存する進め方はあまりうまいとは言えない。


こういった依頼事項に限らず、物事を伝えるタイミングはその物事の内容と同じくらい重要だと思う。誰しも心に強く残っている言葉というのがあるだろうが、その言葉はそのタイミングで言われたから心に残っているので、同じ内容でも違うタイミングで言われたら全く心に響かない可能性もある。自分に強い影響を与えたから他人も同じくらい心を動かされるだろうと、やたらに他人に伝えたがる人もいるが、得てしてあまり響かない。


相手のタイミングに合わせて、今何を伝えるべきかを的確に判断できる、そんな能力を身につけられればもっとうまく周囲を動かせるのだろうなと思う今日この頃。