坊主憎けれゃ

Microsoftトップエンジニアの中島聡氏のブログに、原発に依存して電力を浪費する暮らしから、農業や自然を大事にする「人間らしい暮らし」に転換しよう、といった趣旨のエントリがあった。


人間らしい暮らしというもの自体が抽象的なので、どちらが人間らしい暮らしかというのを比較することも難しいが、今でもiPhoneのアプリを作ったりしている方がこういうことを言っていることに少し面白さを感じた。IT業界はその全てが電力を抜きには語れない。電気を使わない電子機器なんてないし、データセンターは大量の電気を消費するし、節電で冷房使用を抑えてもサーバーだけは冷やさないといけない。


中島氏が現代的な暮らしを批判するということは、取りも直さず自身の人生自体を否定していることになる。少し冷静に考えればわかりそうなものだが、あれだけ賢い方でもそういう側面が見えなくなってしまうのは、原発が絶対的な悪であるということを信じ込み、思考停止してしまっているためだと思う。


いわゆる「坊主憎けれゃ袈裟まで憎い」という状態なのだが、何かを絶対視してしまうと、そこから導き出される結論は説得力を持たないことが多い。原発の話をしていないときの中島氏は、とても知的で面白い方なのだが・・・。