IPアドレスの枯渇が示すもの

今週、インターネットの世界ではかなり歴史的なイベントがあった。それはGoogleなどの大手のサービスがIPv6の運用を開始したこと。インターネットではサイトごとの住所を表すのにIPアドレスというものを使っているが、割り当てられるアドレスが少なくなってきたために、新しいアドレス体系を導入したのである。例えるなら、携帯電話の番号が11桁から15桁になるようなもの。


こういう話が出ると、なぜ最初から広い体系にしなかったのかという意見が出るのだが、インターネットの創設者から見れば、これほど広まるともこれほど長期間利用されるとも思っていなかったのだろう。あれだけ目まぐるしく移り変わったIT技術の中で、インターネットは競合するものが出ることもなく、長期にわたって通信基盤として利用され続けた。


ただ、21世紀に入ってからのIT業界を見ると、基盤技術の革新はほとんど起きていない。開発言語は相変わらずJavaJavaScriptが主流だし、PCのOSは今だにWindows XPのシェアが高い。変化が速く次々に新技術を学ばないといけないなんて言われたIT業界も、確実に転換期を迎えているような気がする。


枯渇寸前までIPアドレスが使われたことに、インターネットの創設者は多少誇らしさも感じるだろうが、自分を超えるものが出てこなかったことに一抹の寂しさも感じているかもしれない。