Service Level Agreement

格安航空会社が「丁寧な言葉を遣わせるような教育はしておりません」などの低品質サービスを宣言したことが、少し話題になっている。この航空会社に乗ってみたいかというと微妙な気持ちもするが、日本のサービス業に新たな概念を持ち込んだことはとても興味深い。


IT業界では、こうしたことはService Level Agreement(サービスレベルへの合意)として、対顧客ビジネスでも社内システムでも広く行われている。24時間365日の稼働を求められるシステムと、一日一時間停止するシステムではそもそもの設計から異なるし、かかるコストも桁が違う。高いサービスレベルを求めれば、それに応じた負担を求められるのである。


「スマイル0円」というマックのメニューがあったように、人が提供するサービスの品質は無償のものだと思われてきた。だが、既存の航空会社などは客室乗務員のマナー教育に莫大なコストをかけてきた。また、器量がよくサービス意識の高い人を雇うために採用にもコストをかけ、そういう人が入社を希望してくれるように待遇も高くせざるを得なかった。
一見、無償に見える「気持ちの良い応対」も、これらの隠れたコストの産物なのだと思う。


サービスを無償のものとしてきたことが、「お客様は神様」と客の方に勘違いさせ、安いファミレスで従業員に怒鳴るようなモンスターカスタマーを生み出した一つの要因ではないかと思う。「高いサービスを求めるなら金払え」とした方が、今の世の中には合っているのかもしれない。チップの要らない文化が嫌いではないので、少し寂しい気もするけど。