沈黙の多数派

最近の一年間、住んでいるマンションの理事をしていたのだが、その仕事の中で色々気付いたことがある。マンションのちょっとした補修の話だと、多くの人はそんなに興味がなく、「どっちでもいいから早くやってくれ」といった感じのスタンスなのだが、ごく一部の少しクレーマー的な人だけが声をあげる。


マンションの決議も民主主義なので、本来の多数決原則に従えば「どっちでもいいから早くやる」という話になるはずなのだが、そうはならないことが多い。あまり強い興味をもたない人たちは基本的に声をあげないので、声をあげたうちの多数派の意見が強い影響を持ってしまう。


別にみんなが強い関心を持つべきだというのでも、沈黙せずに声をあげるべきだというのでもない。世の中の多数派というのは、多くの場合にそういうものであり、そうした沈黙の多数派の意見を、何とか意思決定に反映させる仕組みを作れないかなと思う。民主主義や合議制が意思決定としてあまりうまく機能しないのは、多数決という合理的な仕組みを使いこなせず、かつ尊重もしていないためではないかと思う。


普天間基地の移設問題なども、もしかしたら「県内でも県外でもいいから、とにかく早く移転させて欲しい」と思っているのが多数派かもしれない。だが、そうした声は決してあがることはない。