車線のジレンマ

ゲーム理論に「囚人のジレンマ」という有名なテーマがある。二人の共犯が警察に囚われた際、二人とも黙秘を続けるのがベストなのだが、自分だけ黙秘をして相手が裏切って自白した場合のデメリットが非常に大きいと、相手の裏切りを恐れて二人とも自白してしまう、というものである。


面白いけど理論上の話だなと思っていたのだが、先日車を運転しているときに、ふと「ああ、これって囚人のジレンマだな」と思ったことがある。複数車線ある道路が、あるところから車線が減るという場所にさしかかると、かなり手前から多くの車が車線を変更する。本当は、なくなる地点のギリギリまでその車線を使った方が、全体の渋滞は少なくなるのだが、あまり有効に使っている場面は少ないし、僕自身も結構早めに車線を変えてしまう。


こうなる原因は、もしもギリギリまで行ったときに相手が譲ってくれなかったら、という裏切りの恐れがあるためだと思う。結局その結果、減ってしまう車線から移動してしまい、全体の利益は損なわれてしまう。


もしも、車線減少地点では必ず譲るという合意を社会全体で共有できれば、ジレンマから解放されるのになと強く思う。教習所でそういうことを教えられないものかなぁ。