想像力という魔物

ジョン・レノンの歌に、「Imagine」という有名な歌がある。平和な世界を想像してみよう、そうすれば実現できる、といった趣旨の歌詞で、まさに人間の想像力というのは、大きな力があると思う。


ただ一方で、ときに想像力は大きな負の力を持つこともある。人間関係を壊し、国家の関係を壊し、悲惨な戦争を引き起こしてきたのも、一つの要因は人間の想像力だと思う。
ある人に、何かをされた。すると、「あの人は、こういうことも思っているに違いない」と人は想像力を働かせる。次第に「こういうことを思っている」ことは自分の中で確固たる「事実」となり、「こういうことを思っているのだから、こんなことをしてくるかもしれない」と、想像が膨らんでしまう。
国家の間だって、かなり似たようなことはあり、日韓関係や日中関係が悪化するのには、お互いの相手に対する想像力の増幅があると思う。


こういう事態を防ぐには、自分自身の考えが、何かの根拠に基づくものなのか、それとも自分の推測をベースにしたものなのかを、時折、意識するといい。
そして、相手の想像力の増幅を防ぐには、少しでもよいので、直接会ったり話したりするコミュニケーションを定期的に取ること。
現実の姿を見れば、想像力を膨らませる余地が減っていく。


自分の想像力も、他人の想像力も、うまくコントロールできると、いい関係が築けるのだろうなと思う今日この頃。