支援の目的

東日本大震災の被災者支援策として、二重ローンの減免などが議論されている。ローンが残っている家や車が流されてしまった人が、代替物を得やすくするということなのだろう。


ただ、ふと考えると、こういった状況に陥るのは、何も震災に限ったことではない。小規模な土砂崩れで、家を潰されてしまった人だって、状況の悲惨さは変わらない。違うのは、同じような状況になった人が、多いか少ないかだけである。
なのに、「被災者はかわいそうだから」といった理由付けで支援をすると、不公平感を起こすし、最後は国が助けてくれる、というモラルハザードにもつながると思う。


結局、支援をする目的は、個々の被災者を救済することではなく、特定地域に貧困者が急増することのマクロ的影響を回避することなのである。
だから、被災者支援という言い方は正しくなく、本来は地域経済支援などと言うべき。それを、選挙を意識してなのか、耳障りのいい目的にすり替えるから、整合性が取れなくなる。


本来の目的を認識しつつ、言葉をすり替えているだけなら、まだましだと思うが、本当に被災者個々人の支援をしようなんて、政治家が考えているなら救いようがない。国民から集めた税金を分配する以上、政治は慈善事業であってはならない。慈善事業なら、自分の金でやってくれ。