自分探しの「自分」とは

今年、大学三年生になる人から、「そろそろ就職活動をしなければいけないのだけど、自分が何をしたいのか全くわからない。自分探しをするためには、一人旅とかをした方がいいでしょうか」と聞かれた。


さて、自分探しの「自分」とは何なのだろうか。それは、自分がどういう適性や能力、嗜好を持っているか、ということだと思う。それは、やや抽象的な言い方をすれば、自分の形だと思う。
では、もしも真っ暗な部屋に入れられて、「この部屋の形を把握しろ」と言われたら、何をするだろう。そのときにじっとしている人はいない。おそらく、手探りで何かにぶつかるまで進んでみて、ぶつかったものが壁なのか何なのかを探るはず。


部屋を自分に置き換えると、どうなるだろうか。結局、一気に全方向に進むことはできないから、何かを自分の限界と思えるところまでやってみるしかない。
音楽が好きなら音楽を、毎日徹底的にやってみる。そうすると、しばらくすると、少し飽きてきたり、上達が止まってくる。そのときに、それでも続けようと思うか、止めちゃおうと思うかが、自分の嗜好の壁であり、自分の形なのである。


一人旅に出てみることで、そういう壁にぶつかる可能性があるだろうか。僕には、暗い部屋の中で、しゃがんで鼻唄を歌うくらいのことにしか思えない。
何でもいい。まずは、何かを徹底的にやってみよう。