辞任の不思議

前原外相の辞任に関して、特に是非を言うつもりはないのだが、前々から疑問に思っていたことがある。


一般的に会社の社長や役員が、「責任を取って辞める」というとき、社長だけを辞めて、一般社員に戻るということはない。
課長や部長だって、「責任を取って、退職します」ということはあっても、「責任を取って、平社員に戻ります」ということは、ほとんど聞かない。


しかし、政治家は別である。責任を取って大臣を辞めても、議員ではあり続ける。だから、どうも政治家の辞任というのは軽く思えてしまう。


今回の前原外相の件に関して言えば、もう一つ不思議なことがある。彼は、大臣として誤ったことをしたのではなく、議員として誤ったことをしたのである。


同じように見えても、行政府の職である大臣と、立法府の職である議員は、職務が違う。(その証拠として、大臣は民間人でもなることができる)
議員として誤ったことをした以上、議員を辞めるべきかどうかだけが問われるべきで、大臣を辞めても、何ら責任を取ることにはならない。


A会社とB会社の役員を兼務していて、A会社で不適切なことをしたのに、B会社だけを辞めるといったら、誰でもおかしいと思うだろう。


別に前原外相が議員を辞めるべきということではなく、判断するポイントがずれていることに、とても違和感がある。