Life is limited

僕は高校生の頃に、かなり深い悩みを抱えたことがあり、そのとき「きっと生きていてもつらいことの方が多いし、いっそ自殺してしまおう」と何度か本気で考えた。その頃に見たあるテレビ番組の一節が、今でもとても印象に残っており、結果的には僕の人生を大きく変えたと思っている。


その番組は、自殺サイトの運営者のドキュメンタリーで、その運営者は楽に死ぬための薬を販売していた。これだけを聞くと、その運営者は自殺幇助をしたいかのように思えるのだが、彼はインタビューの中で意外なことを語っていた。「いつでも死ねる薬を側に置いておくことで、逆に前向きに生きて欲しい。そのために、こんなことをやっている」のだと。


これを耳にしたときに、僕は大きな衝撃を受けた。それから、確かに死ぬことはいつでもできる、ならばもう少しだけ生きてみようと思うようになった。今だに、僕の人生はその「もう少し」が続いているに過ぎないと思っている。そして、そう思うようになったことで、自分の人生にリスクを取れるようになった。プログラミングのことを何も知らない状態でITエンジニアに転職し、その後も他人からは奇異の目で見られるようなキャリアを歩んできた。ただ、僕からすれば、そもそも「もう少し」生きているだけなのに、やってみようと思ったことをやらない理由はないと感じて決断してきた。


人生の時間は限られている。だが、それは逆に言えば、どうしようもなく苦しい状況になってしまったとしても、苦しみが永遠に続く訳ではないということも意味している。さらに言えば、終わらせることはいつでも自分の決断でできる。 「もう少し」と思って生きてきた人生は、つらいことも多かったけど、そんなに悪いものではなかったなあと思う今日この頃。