暗号解読

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

前に『フェルマーの最終定理』を読んだが、その筆者の第2弾ドキュメンタリー。


内容を理解するには、ある程度、数学の知識が必要になるが、とにかく面白い。これまで存在した有名な暗号を題材にして、暗号作成者と暗号解読者の戦い、暗号につきまとう「鍵」の配送にいかに苦慮してきたかなどが、巧みな描写で描かれている。


中でも、やはり現代のインターネット暗号を支えている「公開鍵・秘密鍵方式」を編み出したくだりが興味深い。「暗号化する以上、同じ鍵を共有しないといけない」という古くからの「常識」に挑み、その「常識」を打ち破ったことで、今のネット商取引などができるようになった。
その「公開鍵・秘密鍵方式」のベースになっているのは、難しい数学理論ではなく、中学1年生で習う素因数分解であるということは、何度聞いても神秘的。


「公開鍵を知っていても、そこから秘密鍵を割り出せない」というものを皆探し求めていたが、「不可能」なものではなく、「可能だが、時間が何千年もかかってしまう」ものであればよいというのは、参考にしたい発想の転換


余談だけど、素数を題材にした「cube」という映画が昔あって、その映画もとても面白いので、興味がある方は是非どうぞ。