運用・保守という呪縛

2ヶ月くらい前だが、Googleが豪華な福利厚生制度の大半を廃止する見込みという記事(詳しくはこちら)が出ていた。


記事の内容によると、同社の従業員が、自社の福利厚生を当たり前のように思っていることに対して、経営陣が強い不満を感じているらしい。そんな経営と従業員のギャップに嫌気が差して、Googleを辞める社員が増加しているらしい。
この記事がどこまで真実なのかはわからないが、世界のトップエンジニアが集まっていたGoogleから、少しずつトップ層のエンジニアが抜けていることは確か。


こういった現象の背後にあるのは、ソフトウェアサービス事業が抱える「運用・保守の呪縛」だと僕は思っていて、Googleであってもその呪縛から抜けられないでいる。


ソフトウェアサービス事業は、サービス開始という時間軸を境にして、開発・テストのフェーズと運用・保守のフェーズに分かれる。会社に収益を生んでくれるのは運用・保守なのだが、エンジニアにとっては開発・テストの方がスキルになるし、創造性を要求されるので面白い。


会社は収益を得るために、運用・保守に多数の人間を投入せざるを得ず、そのためには、さほどレベルの高くないエンジニアも多数雇わなければならない。そういった普通レベルのエンジニアに対して、豪華な福利厚生を提供することは、コスト的に見合わない。それほど厚遇しなくても、普通レベルのエンジニアの代わりは、いくらでもいるのだから。


人が増えれば、トップレベルのエンジニアは必然的にマネジメント業務など、開発以外の業務に時間を取られることになる。そして、段々そんな状況に嫌気が差してくる。Googleには有名な20%ルール(業務時間の20%を好きなことに使っていいというルール)があるが、逆に言うと20%しか、好きなことに使えないという見方もできる。


Googleのサービスを数多く利用する者としては、運用・保守をしっかりやって欲しいのだが、それに力を割けば割くほど、Googleから革新的なサービスが出なくなる。そしてまた第2のGoogleが、どこかから出てくるのだろうか・・・。