「受益者負担」という罠
道路特定財源は、受益者負担という考えがベースになっている。それは、「道路を造ることによってメリットを受けるのは、自動車利用者」だから「自動車利用者から利用分に応じた金を集めて、道路を造る」というもの。
道路があることによって、自動車利用者がメリットを受けるのは間違いない。だから一見正しそうなロジックに聞こえる。
一方、最近の東国原知事の発言にこんな内容があった。
九州の北部地域と高速道路で結ばれていない宮崎には、自動車関連産業がまったくおりてこない。だからこそ、道路特定財源の確保と暫定税率の維持を主張している。この発言を読み解くと、「道路がないから、宮崎県の雇用が増えない」ということになる。逆を言えば「道路ができれば、宮崎県の雇用が増える」ということ。
この場合、東国原知事が道路を造ることによってメリットを与えようとしているのは、宮崎県の失業者や低所得者である。ここに、道路特定財源の「受益者負担」というロジックが抱える大きな矛盾がある。
自動車利用者がメリットを受けているのだから・・・という名目で一旦、金を集める。しかし、集めた金を振り分ける際には、本来受益者であったはずの自動車利用者ではない人のために配分されている。自動車利用者は副次的に利益を受けているに過ぎない。
一見正しそうなロジックを積み上げて、大きな嘘を作り上げる。皮肉ではなく、実にうまい仕組みを作り上げたなと思う。