司馬遼太郎という人

司馬遼太郎という人 (文春新書)

司馬遼太郎という人 (文春新書)


僕はこれまで数多くの司馬遼太郎作品を読んできたけど、作者の司馬遼太郎という人そのものについてはあまり知らなかった。そう思っていたところに、本屋でこの本を見つけたので読んでみた。


本書の内容は、長年の編集者から見た司馬遼太郎の姿であり、あくまでも作家としての司馬遼太郎だけに留められている。私生活での素顔やエピソードといったものは全くない。


本書を読んで、僕が司馬遼太郎作品に惹かれる理由を改めて認識することができた。それは、司馬遼太郎の人生が僕の目指している生き方にとても近いからだということ。
それを非常に感じたのが、2つの司馬遼太郎の言葉。

  • 「自分を面積も質量もない、点のような存在にしないと物が見えてこない」
  • 「数学は苦手やけれども、相対性理論を一般向けに解説しろといわれればできないことはない」

司馬遼太郎は、歴史の中から人間というものの本質を掴もうとしていたのだと思う。本質を掴むという能力に秀でていたこと、そのために自分をどうしておくことが必要かということを、はっきり認識していたことが上記の2つの言葉から読み取れる。


僕はあまり野心とか出世欲とか物欲とか、そういったものをあまり持ってない(自分で言うのもなんだけど)。では何が楽しくて生きてるの?っていうと、物事の本質や原因といったものを考えるのが好きなだけだと思う。死ぬまでに何か大きいテーマで、その本質は何かってことを考えてみたいななんて思ってもいる。


そういった思いが、司馬遼太郎作品に引かれる理由なのだろう。このブログも多少は、物事の本質を認識したいという思いで書いているけど、それこそ司馬遼太郎に遼かに及ばない「司馬遼遼太郎」って感じだな(笑)