理解力と表現力

「表現する」とはどういうことか、ということに対して、僕は「自分自身の感情や気持ちを掘り下げていくこと」だと思っている。
よく、周囲の人が自分の気持ちをわかってくれない、と言うが、自分の気持ちというのは自分自身でも正確に把握できていないことがほとんどである。例えば、恋人と別れたときの自分の気持ちを、自分自身で正確に把握できていただろうか。そのときの気持ちは、「悲しい」とか「悔しい」とか、そんな一語で表せるようなものではなかったはず。


たとえ、世の中に言語がなかったとしても、人間は感情や気持ちを持っている。ただ、それを自分自身で把握するためには、何らかの言語が必要である。言語というのは伝達するためだけの手段でなく、思考するための手段でもある。自分の感情や気持ちを正確に理解できれば、それが即ち「表現」なのである。


一方で、「理解する」というのは、外界の物事や他人の言動の本質を把握することである。結局、表現と理解というのは、それが自分の内側に向かうのか、外側に向かうのか、というだけの違いであって、アクションの内容にはほとんど違いがない。


理解力を高めたい、物事の本質を掴めるようになりたい、ということはよく聞くが、そのためには自分自身を表現していく力を高めていくことが、一番のトレーニング。今、自分が見ているものに対して感じたことを、正確に表現できるかな?