Googleの隠し味

Google社内のエコノミストが公式ブログで、「Our Secret Sauce(我々の隠し味)」と題して、自社の強みを語ってた。

結構面白かったので、ちょっと意訳して引用。(原文はこちら

ビジネスが成功するためには、通常3つの手段がある。
1.量産効果
製造業で特に言われることで、物は大量に作ると1つ1つのコストが下がり、利益が増える。
(※液晶テレビが普及した途端、価格が劇的に下がったのはこの量産効果のため)
2.囲い込み
他の商品・サービスに乗り換えると多額のコストがかかるようにしておくと、顧客を囲い込むことができる。
(※携帯電話の1年契約割引がこの顕著な例)
3.ネットワーク効果
多くの人が使えば使うほど、その商品・サービスの価値が上がるようにしておくと、ある程度顧客を増やせばあとは自動的に顧客が増えていく。
(※携帯のメールが同一キャリアしか送れなかった頃は、この効果がかなりあった)

しかし、Google検索はこの3つに全く当てはまらない。検索数が増えるとデータセンターなどのコストが膨れ上がる一方だし、使う検索エンジンGoogleから他のものにすることにコストは全くかからない。みんながGoogleで検索しているからといって、Google検索の価値が上がるわけでは決してない。

では何が「我々の隠し味」かというと、技術革新を絶え間なく続けていること以外にない。
Google Official Blog Posted by Hal Varian, Chief Economist)
結論はそんなに大したものではないけれど、Googleの凄さと危うさを同時に説明していて興味深い。
Googleマーケティング的な戦略を全く使わずにここまで成長したという一方で、技術革新が止まった途端に今のポジションを失うということでもある。

ちなみに、この3つの手段をとても効果的に使ったのが他ならぬMicrosoftで、量産効果のおかげでWindowsの利益率は80%もあるというし、ExcelとWordを同梱させて囲い込みを図ったのも有名。みんながWindowsやOfficeを使ってるから仕方なく使っているという人も結構多いはず。

最近GoogleMicrosoftが提唱するファイル形式(OOXML)の標準化にも、猛烈な批判をしていて、対決姿勢を強めている。このエコノミストの文章も少しうがった見方をすると、「お前らとは違うんだ」というMicrosoftへの皮肉と言えなくない。