原稿用紙○枚以上

今でこそ、こうやってたまにブログを書いたりしていて、文章を書いたり資料を作ったりすることは平均的な人より上手いと思っている僕だが、高校生くらいまでは文章がとても下手だった。
作文を書いたりしても、親から「あんたの作文は、回りくどくてよくわからない」とか言われていたし、先生からも文章を褒められた記憶は一度もない。


そんな僕の転機になったのが、大学時代に法律の論述答案が「結論は○○、その判断基準はAとBで、Aは○○、Bは○○」という構成になっているのを見て、「なるほど。文章というのは、こういう風に書けばいいんだ」と思ったこと。
言われてみれば当たり前のことなのだが、文章を書く上では、まずテーマ(全体で何を言いたいのか)を決めて、テーマを伝えるために必要な材料を洗い出し、徐々に肉付けをするというステップを踏む。それまで、テーマを決めるということが、全くできていなかった。


仕事で、他人が作った文章や資料を見ていても、テーマが明確になっていないものは意外に多い。「結局、何が言いたいの?」と聞くと、回答に詰まることも多々ある。


その弊害を生んでいる一因が、小中学生に作文課題を課すときに、「原稿用紙○枚以上書くこと」という制約を設けることだと思う。僕もそうだったが、字数を埋めることを最優先に考えてしまうので、まず「朝起きて、歯を磨いた」といった書き出しから始めてしまう。


有名編集者が、作家を目指す人に向けて書いた本の中に、「まずは短編小説を数多く書くこと。長編小説を書くのは、短編では書ききれないテーマが見つかったときから」というくだりがあった。僕のブログで、少し真面目な話を扱ったときでも大体1000字程度。原稿用紙にして3枚弱。それ以上、長く書くこともできるが、冗長にならざるを得なくなる。
一応、文章を書き慣れている人間でもそれくらいだから、小中学生には原稿用紙1枚でも半分でもいいと思う。ただ、先生に突っ込んで欲しいのは、文章の短さではなく、テーマが明確になっているかどうか。


「動物園で何に一番感動したの?」「象さんがかわいいと思ったのは、どこを見て思った?」「象さんの目が、他の動物と違うのは何が違うんだろう?」
作文を書いた後に、こんなやりとりがされるようになれば、きっと日本全体の文章力が上がると思う。