銀行のシステムトラブルから学ぶこと

三菱UFJ銀行がシステム統合でトラブル(Yahoo!ニュース)らしい。ただトラブルとはいえ、セブン銀行の一部で一時的に使用不可になった程度のもの。障害がこれだけであれば、今回の統合は成功の部類に入ると思う。


みずほ銀行のシステムトラブル(2002年4月)以降、世間やマスコミの銀行システムに対する目は厳しくなった。それに対応する形で、銀行側はシステム統合にあたって過剰なくらいのテストをするようになっている。今回の三菱UFJでは、総工数11万人月のうち、大半がテストに費やされたらしい(詳しくはこちら)。


SEの月単価を100万円としても、11万人月だと1100億円になる。諸費用含めれば、プロジェクト全体の費用が数千億円にのぼったことは間違いない。


みずほのシステムトラブルは、それまで類を見ない大規模なものだった。しかしそれでも経済活動は停止せず、経済へのダメージが後々まで残ったということもない。
もちろん銀行は、トラブルを再発させないためにどうすべきかを考えないといけない。しかし、社会全体としては「銀行のシステムで障害が起きたら、とんでもないことになる」と言って恐れていたものが、実は「張子の虎」的なものだったということを認識すべきだと思う。


過剰な品質を要求したツケは、サービス品質の低下となって利用者に跳ね返ってくる。トヨタだって何があっても生産ラインを止めてはいけないと強要されたら、あれだけの価格で車を販売することはできない。